以前から気になっていた映画、「聖の青春」を観に行ってきました。
主人公の村山聖は、実在した将棋の棋士で、松山ケンイチが彼を演じています。
この役作りのため、松山ケンイチは体重を20キロも増やしています。
劇中にお腹が見えるシーンがあるのですが、見事なたぷたぷ感にビックリしました。
主人公の村山聖は、幼い頃からネフローゼと呼ばれる腎臓病と戦ってきました。
全身のむくみ、倦怠感、悪化をすれば死に至る、恐ろしい病気です。
そんな彼が人生の支えとしたものが、将棋です。
劇中で、ボロボロの身体を嘆きながらも、「こんな体でなければ将棋とも出会ってなかった。」と呟くシーンがあります。
健康を望みながら、それでも将棋と出会えた事には感謝している、という複雑な心情をうまく描いています。
また、彼の生涯のライバルであった、羽生善治も登場します。
村山にとって、羽生は絶対王者であり、いつか必ず越えたい、憧れの存在なのです。
そんな羽生善治を、東出昌大が熱演しています。
「羽生睨み」と呼ばれる、将棋盤を鋭く睨み付ける姿や、細かく貧乏揺すりをする姿、さらには後頭部の寝癖に至るまで再現されています。
私は羽生さんが大好きで、書籍も何冊も持っています。
東出昌大の羽生さんの再現率の高さに、非常に興奮しました。
映画の見所は、そんな村山と羽生の対局シーンです。
病気が悪化し、膀胱と精巣を摘出した村山が、看護婦を待機させながら臨んだ一局です。
息詰まる二人の攻防戦、命を削るようなやりとりに、つい魅せられてしまいます。
この映画は、実際の人物をモデルにしているため、変に脚色せずに描くことを心がけて作られていると思います。
村山が亡くなるシーンも淡々と描かれていますし、人によっては盛り上がりに欠ける、と感じるかも知れません。
しかし、確かに村山聖という人は存在し、文字通り命をかけて将棋をしていたのです。
彼が存在した証を、映画を通して伝えたい。
そんな思いが伝わる作品だったと、思います。