プレゼンテーションには、その人の個性がよく現れる

先日参加した勉強会で、パネルディスカッションがありました。
まず3人のパネラーが15分から20分程度でプレゼンテーションを行い、次にコーディネーターとパネラーとのディスカッションがあり、その後フロアとの質疑応答がありました。

このパネルディスカッション面白かったのは、パネラーのプレゼンテーション・スタイルの違いです。聞いてみていろいろと感じるところがあったので、改めて振り返ってみたいと思います。

パネラーの1人は、特別支援学校高等部の教員です。普通科だけだった高等部に、企業への就職に特化した学科を立ち上げることになったいきさつを、筋道立ててわかりやすく話しました。普通科との違いや、学科の方針がよくわかっただけでなく、生徒に関するエピソードも時々織り交ぜて話したところがとてもよかったです。おかげでプレゼンテーションが単なる説明に終わらず、生き生きとした内容になっていました。

もう1人は、障害者を多数雇用する企業の管理職です。自社の近況や取り組み、最近の法改正への対応について、時には熱く、時には冷静に語っていました。このプレゼンテーションで際立ってよかったのは、声の使い方です。重要な点や強調したい点ではより大きな声で少しゆっくり話す一方、ややネガティブな内容などについては意図的に声を落として話していました。こうした声の使い方に加えて、社内でのエピソードも織り交ぜながら話していたので、全体的に温かみのあるプレゼンテーションになりました。
残る1人は、障害者の就労を支援するNPOの役員です。この方は他の2人と違って、パワーポイントを使わず、配布資料の内容に基づいてプレゼンテーションを進めました。パネラーご本人には大変申し訳ないのですが、語り口が平板だったうえ、配布資料の情報量がやたら多かった(A4サイズの用紙5ページにわたり、文字でびっしり埋め尽くされていました)ので、ポイントがつかめませんでした。私はこの方のプレゼンテーションを過去に何回か聞いたことがありますが、毎回こんな調子です。でも他方で、文字で埋め尽くされた資料を配って平板な語り口でプレゼンテーションを行うスタイル、そしてそのスタイルを一向に変えようとしないあたりは、むしろその方の個性ではないかという気もしました。

今回のパネルディスカッションでは、プレゼンテーションの中にパネラーそれぞれの個性がよく現れていたと思います。内容はもちろん大事ですが、プレゼンテーションそのものに焦点を当ててパネルディスカッションを見聞きするのも、なかなか面白いものです。
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